ロマンス詐欺急増、「借金」名目から「投資」に 〝脱国際〟、組織的背景も(産経新聞)

 2024年7月12日
2024年7月8日8時00分付け「産経新聞」記事が公開されました。

相変わらず膨大な数と金額の被害が続いているロマンス詐欺、
その昨今の傾向についてまとめた記事です。

重大な傾向は以下の4つ。
①以前はリアルな婚活での結婚詐欺などだったが、現在はSNS(Facebookなど)やマッチングアプリを通じて関係性を築いて騙す、対面しない詐欺が完全に主流になっている
②従来は外国人による「国際ロマンス詐欺」が主流だったが、近年は半数近くが日本人を名乗る「国内ロマンス詐欺」になっている
③従来は病気や学費や家族の都合などでお金を無心するのが主流だったが、近年は投資でお金を増やす「投資詐欺」が主流になっている
④詐欺被害を回復するという弁護士などの広告で、着手金を払っても何もしてくれない二次被害が生まれている


①に関しては、知らない人からのメッセージは基本的に詐欺の可能性が高いと考えてください。
世界中に何億人も利用者がいるSNSで、素敵な異性があなた1人を運命の人だと考える理由を冷静になって考えてみましょう。
②に関しては、「国際ロマンス詐欺」という名称が広く知られたこともあるのでしょう、日本人を名乗る相手にも警戒が必要です。
ただし外国人が日本人を騙ることも多いので、特に日本語がおかしい相手はまず詐欺だと考えてください。
③に関しては、お金を借りる理由をいちいち用意しなくても、「あなたも儲かる」という欲望を刺激すれば何度でもお金を引き出せるので、投資詐欺は詐欺の常套手段となっています。
とにかく「会ったこともない人を信頼して投資先を決めたり、相手にお金を預けたりする」のはほぼ詐欺だと考えてください。
また金融商品を勧誘したり購入したりするには金融業者としての登録が必要なので、少なくとも個人口座に入金を促した場合は100%詐欺です。
④に関しては、特に国際ロマンス詐欺の被害回復はほぼ不可能なので、
それが高い確率で可能であるかのように謳っている広告は「二次被害」を生む可能性が極めて高くなります。

客観的に見れば詐欺だとすぐ分かることでも、自分に起きたことに関しては、人は誰しも奇跡だと信じたくなるものです。
ことが「ロマンス」だとなかなか他人には相談しづらいでしょうが、できれば友人知人に相談する、
それができなければまずは状況を客観視して、常識的な判断をしましょう。

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ロマンス詐欺急増、「借金」名目から「投資」に 〝脱国際〟、組織的背景も

恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害が急増している。従来からある結婚詐欺の一種だが、最近では交流サイト(SNS)で接触し、投資話などを持ちかける手口が横行。警察関係者は、被害急増中の理由を「特殊詐欺よりも効率がいいためだろう」と指摘する。

■被害額は4割増

警察庁によると、今年1~4月に確認されたロマンス詐欺は832件、被害総額は84億1千万円に上る。昨年中の被害総額は177億3千万円、月平均の被害額は14億8千万円だったが、今年は月平均で21億円と、4割余り増えた格好だ。

結婚詐欺の舞台は近年、「リアル空間」のお見合いパーティーよりも、SNSなどを通じた「バーチャル空間」での非対面型の犯行が主流。中でも、アフリカ人らが欧米の軍人や王室関係者を装い、憧れを抱かせる手口から「国際ロマンス詐欺」と通称されるものが問題となってきた。

ただ、最近は〝脱国際〟が進み、警察庁は、これまで除外していた「日本人」として犯行に及んだケースも統計に含めるようになった。今年1~4月のロマンス詐欺被害の44・6%が国内居住の日本人を名乗っていた。

被害額は1件が平均1千万円で、最高で1億2千万円。「出会い」のきっかけとして最も多かったのは、マッチングアプリだった。

■一切対面せず1億円

こうしたロマンス詐欺は従来、借金名目でカネを無心するものが多かったが、現在は投資をもちかける内容にシフトしている。

今年4月、熊本県警は被害総額が1億円を超えるロマンス詐欺が発生したと発表した。被害者は60代の無職男性。マッチングアプリで知り合った「女性」を名乗る相手に恋愛感情をくすぐられ、「お金を増やせる」「一緒に増やそう」と外国為替証拠金取引(FX)の投資名目で指定された口座に1回当たり500万~1千万円を20回にわたって振り込んでいた。

県警は「2人のやりとりはメッセージのみで、対面したことがない。相手が女性だったかどうかも不明」としている。

秋田県でも5月、男鹿市の男性が「同郷の女性」を自称する相手からSNSでFX投資を持ちかけられ、現金4千万円余をだまし取られた被害が明らかになった。〝交際〟は、3月にダイレクトメッセージが届いて始まったという。

千葉県警も同月、船橋市の女性が「外国人の男性」とされる相手からSNSで友達申請が届き、やりとりする中で「2人の将来のため資産を増やそう」と噓を言われ、暗号資産(仮想通貨)の投資話で約3600万円を詐取されたと発表している。

■二次被害や三次被害

SNSを悪用した投資詐欺被害は、こうした「ロマンス詐欺型」も踏めて令和5年7月頃から急増しているが、警察幹部は「特殊詐欺より1件の詐取金額が多い半面、リスクも手間も被害者の人数に比例して少なく、効率がいいため」とした上で、組織的な犯行との見方を示す。

岐阜県警は今年3月、ロマンス詐欺の利益と知りつつ被害者から計300万円の送金を受け、資金洗浄(マネーロンダリング)した組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑で男女4人を逮捕。4人の口座には多数の被害者から振り込みがあり、一部を報酬として受け取って残りは暗号資産に換え、複数の詐欺組織に送金していたという。

マネロンは、容疑者が逮捕されても被害回復が不可能となる「二次被害」の原因になっている。またロマンス詐欺の被害者が「被害金を回収します」とうたう法律事務所の広告を見て着手金を支払ったが、全く進展しないといったトラブルも相次いでいる。

各地の弁護士会は「被害回復は困難」として誇大広告への注意を呼びかけている。実際、着手金を違法に集めていた弁護士法違反容疑で、無資格の回収業者と、名義貸しをしていた元衆院議員の弁護士が、警視庁に逮捕された。

こうした被害の相談は警察だけでなく各弁護士会にも多数寄せられており、ある法曹関係者は「詐欺被害者を二次被害、三次被害に遭わせるとは、同じ法律家として嘆かわしい」と話している。

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記事リンク(引用元・画像あり)はこちら→https://www.sankei.com/article/20240708-UNJ2G73A4FNTLFYWYZN4RYTK2A/
 
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