それが最近は、4~5件は国内のニュースが表示されるようになっています。日本社会で「集団訴訟」、またはそれを目指す被害者の連帯が盛んになって来ている実感があります。
もくじ
◆「NURO光」集団訴訟の呼び掛けはSNSから
◆トラブル続きのカリスマ「エンリケ」は集団訴訟の被告に
◆人生を大きく変える「東京医大」性差別、集団訴訟は第二審へ
◆まとめ
◆「NURO光」集団訴訟の呼び掛けはSNSから
例えば、2022年10月5日15時現在、Googleのニュース検索の結果では、トップに「NURO光」の記事がヒットします。
これは「ZENSHO」ニュースでも紹介した、以下の記事内容です。
【メディア情報】「NURO」が一時Twitterトレンド入り 回線の不安定さから怒りの声相次ぐ 集団訴訟を検討するユーザーも(ITmedia)
実際に訴訟が始まっている訳ではなく、SNSで同じ被害を訴えている人どうしが連帯して、「集団訴訟を検討する」ツイートが広く拡散されている、という2022年9月のニュース。
ネットの光回線の速度やサービスのクオリティが表示通りでない、というこれまでに類を見ない「被害」で「集団訴訟」が取り沙汰されています。
1人あたりは1か月数千円という小規模な契約内容でありながら、その契約数が100万件を突破している業者なので、状況としてはまさに「集団訴訟」が効力を発揮する事件と言っていいでしょう。
今後実際に訴訟に発展するかどうかは分かりませんが、こうして「集団訴訟」という単語と共にニュースになること自体が、業界のモラル向上にも繋がる効果もありそうです。そういう意味でも、現代の「集団訴訟」事情を象徴する出来事となりました。
実際この「NURO光」の広告も、これまで回線速度を前面に押し出す内容で大量に出稿されていましたが、公式サイトトップの文言が「顧客満足度」中心になったとのニュースもあり、その影響力が窺えます。
【メディア情報・続報】NURO光、「遅すぎ」批判で宣伝文を変更? 「混み合う時間帯も高速!」消える...ソニーの見解は(J-CASTニュース)
◆トラブル続きのカリスマ「エンリケ」は集団訴訟の被告に
これも「ZENSHO」ニュースで既に紹介しましたが、「ラスト生誕祭では3日間で2億5千万円を売り上げた」などの伝説を持つ、名古屋の元カリスマキャバクラ嬢「エンリケ」氏経営の会社「エンリケ空間」が運営する事業が、2022年1月フランチャイズオーナー6人に集団訴訟を起こされました。
【メディア情報】元“カリスマキャバ嬢”エンリケが訴えられた…FCオーナー「売り上げは説明の10分の1」怒りの告発に本人が大反論100分(SmartFLASH)
これ以外にも同社が運営する買取事業が出資法違反あるいは詐欺罪にあたるのではないかと問題になっていたり(ニュースはこちら)、シャンパンサロンでは死亡事故が起きたりと、トラブル続きのエンリケ氏及び「エンリケ空間」。
買取事業に関しては、既にSNS上で集団訴訟の呼び掛けが始まっています。
【メディア情報】〈DM入手〉ブランド品で「半年で12%の利益」エンリケに今度は出資法違反の疑いと返金トラブル(文春オンライン)
【独自・続報】「エンリケ空間」の買取事業被害者、SNS上で集団訴訟の呼び掛け始まる
これまでも芸能人・有名人が広告塔となった形での投資詐欺などのトラブルは多数ありましたが、本人が代表を務める会社ということで、直接的に訴訟の対象となる珍しい例になっています。
エンリケ氏の場合は、実際の事業運営を夫が行っているという話もあり、当事者夫婦間のトラブルもありそうですが、それも含め司法の場で責任の所在が明確になることでしょう。
◆人生を大きく変える「東京医大」性差別、集団訴訟は第二審へ
その他、検索の上位には
・「徳島市の再開発事業に関して、市が開発事業から撤退したことにより計画が頓挫したので、経済的・精神的被害を被ったという地権者19人による集団訴訟が第一審で棄却された」ニュース
・「東京医科大学が大学入試で性差別を認めたことに対して、差別された女性受験者28人が集団訴訟を起こしていたが、一審判決の慰謝料20万円が安すぎるとして控訴した」ニュース
・「東日本大震災による東京電力福島第一原発事故で、被害を受けた住民が国と東電に損害賠償を求めた訴訟で、既に最高裁判決が出た後だが473人が追加提訴して原告が1600人を超えた」ニュース
などがヒットします。
その中で東京医科のニュースは、生涯の職業や収入に大きくかかわる(社会人の平均生涯収入2億円程度に対し、医師は4.4億円)医学部の合格資格試験において、事前に公表せずに女性だけ大幅減点していた件に関する集団訴訟です。
単純な金銭的被害だけでも20万円では安すぎるのに、人生計画自体を破壊しておいて慰謝料があまりに安すぎる、というのは被害者からすればもっともなことでしょう。これも集団訴訟だからこそ、声を合わせて力を合わせて頑張れると同時に、こうしてニュースにも取り上げられて社会を変える一助になっていると思われます。
◆まとめ
ひと昔前は集団訴訟に発展するような「被害」は、健康被害が深刻な公害や、数多く売れている商品に関する大規模な消費者問題や、一人の被害額が大きい投資詐欺などがよく知られているものでしたが、最近ではこのように大小さまざまな形での「集団訴訟」を、実際に起こしたり呼び掛けたりすることによって、社会問題として周知されることも増えてきました。
騙す側・不正を犯す側が「やり得」にならないように、社会全体で注視する状況が広く実現されてきています。
その前段階として、まずは被害者同士が連帯し、被害情報を共有・可視化して、事件として認知されるのがまずは必須です。
「ZENSHO」が目指すのは、そのお陰で詐欺や不正自体も起こりにくくなる社会です。
そんな社会が一歩一歩近付いて来ているのではないでしょうか。